05/28の日記
22:54
【小話】甘凌R18 酔っ払い凌統の話
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呼気から漂う凝縮された酒の匂いに、甘寧は顔をしかめた。自身もよくこの匂いを纏っているが、そんなことは棚に上げてある。他人の、もとい情人の泥酔姿は目に余り、苛立ちを覚えるのであった。
凌統は宴会場を抜け出すまでは頑張ったらしかった。しかし、人目のつかない木箱に腰掛け、背後の塀に寄りかかってぐったりとしている様は、勇猛な武将とは思えない。孫呉の宴会に武将だ智将だ君主だなどという垣根は存在しないとしても、酷く酔っ払ったこの状態で万が一襲われでもしたらこの男は対抗できるのだろうか。甘寧の怒気がその酔っ払いに届いたのは、胸ぐらを掴まれて鼻先が付く程の距離まで近づいてからだった。
「あれ?甘寧、あんたここで何してんの?」
「こっちの台詞だろ」
「俺ぇ?俺はなんだか、気分が良くてね」
どっちかというと悪そうだけどな、とツッコミかけてやめた。酩酊状態の人間に何を言っても無駄である。ここまで飲むと記憶を飛ばしがちなことも知っている。凌統を隅から隅まで知り尽くしている甘寧はすぐに持ち帰りを決断した。肩に巨体を抱え上げて無言で歩き出すと、頭上からご機嫌な鼻歌が聞こえてきた。ここまで開放的になっているのは久々である。君主が意中を仕留めたというだけでこれなのだから、その忠孝は本物らしい。単に乗っかって大騒ぎしただけであるが、甘寧からすればちょっと白ける程の盛り上がり様だった。一人楽しそうな皮肉屋を担いで黙々と歩いて邸へ向かった。
凌統を寝台に放り投げてから、甘寧はすぐに甕の水を杯に移し替えた。一口飲んで冷たさを確認し、寝台に近付きながらまた口に含む。だらしなく寝そべる男の髪の根本を掴んで強引に上を向かせて口付けた。既に温くなった水が零れ落ちて寝台を濡らす。上手く飲み込めずにむせるのを気にもせず、甘寧は二度三度と口移しを続けた。
「はっ、はっ、ごほっ」
「……あとはテメェで飲め、酔っ払い野郎」
半分ほどになった杯を乱暴に卓に置いて、甘寧は身を翻した。強烈な欲を優先させて飲む量を抑えたが、その努力は水の泡になりそうだった。その自分勝手な怒りを本人にぶつける前に退散しようという考えだ。ここは甘寧の邸だが、寝るだけの部屋はいくらでもある。
衣を掴まれて、出ていこうとした足は止められた。射殺すような視線でその主を見た甘寧は、思わず固まった。赤ら顔で口元を濡らして、上目遣いに引き留めるその顔は、分かりやすく劣情を刺激した。
「……いっちまうのかい?」
「あ?」
「俺、今ので、結構その気なんだけど?」
クソ酔っ払い、どうせ覚えてねえんだろ、自分の都合のいい時だけ発情しやがって、等の文句は、甘寧の中だけで湧いて消えた。目の前の据え膳を捨て置くような理性は持ち合わせていない。
勢いよく肩を押してその体を倒した甘寧は、そのまま貪るように首筋やら鎖骨やらに噛りつく。まともな状態ならぶん殴られそうな内出血も、今は凌統の息を荒ぶらせるだけだ。帯を取り去り、全ての留めを外そうとしたが、一つで飽きて胸元から臍くらいまで裂き開いた。後日いくらでも仕立てに付き合うつもりだが、特に抗議の声は上がらなかった。どころか、乳首を丹念に愛撫している間に、凌統は己の力で残りの留め具を弾き飛ばしながら衣服を破いていた。
「暑い……。さっさと、脱がせろっつーの」
「んっとに、煽り上手だなお前は」
沓を脱がせて下履きも取っ払って、全裸になった凌統に覆い被さり、もう一度口付けた。今度は水分補給なんて理由は要らず、ただ舌を絡め合って互いの悦楽だけを求めた。
濃厚な接吻を続けながら、甘寧はそろそろと股間に手を伸ばした。いつもなら既に反応している凌統のものは、大人しく鎮座している。掴んで扱いてみたが、元気がないままだ。
唇を離して、甘寧は鎮静した肉塊を咥えた。これまで幾度となく口淫しているが、こんなにも柔らかいのは初めてだった。舌を這わせ、竿を吸い、拳で根本から刺激を与えても全く大きくならない。どことなく同性として、ふにゃふにゃのそれを恥ずかしく思った。
「おい、酔っ払い。勃たねぇぞ」
「ふはっ、ん、なんか俺も、気持ちいいっつうより、くすぐったい」
陽気に笑う顔に呆れながら、甘寧は涎まみれのそれを解放した。隣の戸棚から香油を引っ張り出して指に絡め、孔に埋めていく。酒精で弛緩した体はさして抵抗もなく甘寧の指を受け入れた。ぐにぐにと中を拡げる手つきは機械的だが、時々確信的に悦いところに当ててくるので凌統は素直に喘いでいった。
「はぁ、んっ。かんね、え」
「トロけてんなぁ。すげぇぞここ」
「んーー。すげえ、いい」
「素直すぎんのは、調子狂うぜ」
舌打ちしながら甘寧は下履きをずり下ろした。凌統と違い酔ってもない上に最高の興奮状態が続いて、その逸物は大きく反り勃っている。余った香油を手にまとわせて二度扱いてから、一気に凌統を貫いた。
「ぁああーーっ!きゅう、に、」
「やべえ、ナカ、どうなってんだよ」
「か、かんねい、俺ほんと、今日だめ」
両脚を肩に抱え上げて今にも腰を振ろうとしていた甘寧は、必死の訴えに眉を吊りながらも一応止まった。酩酊しておかしくなっている凌統なら、可愛いことを言ってくれそうだという期待もあり、やむを得ず従ったのである。凌統は腕で顔を隠しながらなんとか呼吸をして、ようやく声を発した。
「揺すられたら吐く……」
「お前なぁ。自業自得だろ。誰が誘ってきたんだよ」
甘寧は呆れながらも脚を下ろしてやった。彼は別に目の前で凌統が吐こうと幻滅はしないし、萎えもしない。だが、もし翌日その記憶があった場合、凌統が相当面倒くさくなることは予想できていた。
寝そべった体を左が下になるように横にさせて、甘寧は膝立ちで股間を密着させた。この体位は抜き挿ししなくとも凌統の悦点を抉るので両者共にお気に入りである。骨がぶつかり肉同士が激しく鳴るいつもの性交もいいが、たまに静かでねっとりとしたものも悪くない。抱えた太ももを舐めながら腰をゆっくりと動かすと、じわじわと凌統に快楽を与えていった。
「あんっ、ん、これぇ、いいっ」
「おぉ。うねって、すげぇ」
「あ、はぁっ、たまんない、って」
「俺も、たまんねぇ」
太ももごと体を倒して口付けると、凌統も溺れそうになりながら返してくる。わざと甘寧が唾液を垂らすと、舌で追いかけながら受け入れた。普段ここまで従順にはならないので、稀になら酔っ払いも悪くねぇな、と甘寧は喜びを噛み締めた。ぐっと腰を奥まで進めると、凌統が声にならない声を上げる。起き上がって吐精感を満たそうとした甘寧は、未だに寝そべったままの凌統の逸物に気がついた。そっと掴んで落としてみる。腰を緩やかに回すと内部が喜び、甘寧自身を締めて確実に追い詰めていった。
「んぁぁ、」
「へっ、ここまで飲むと、お前の本格的に意味ねぇなぁ」
「はぁっ、い、いいっ」
「可哀想じゃねぇ?ほら、こんなに大人しくなっちまって」
「甘寧」
いよいよ怒られるかと思って顔を見て、二度目の驚きが走った。恍惚とした表情は余りに情に溺れているのにきっちりと甘寧を捉えていた。甘寧が内心危惧していた『こんな色気むんむんで落ちてりゃ他人に食われちまう』という懸念を吹き飛ばすように、甘寧だけを見詰めて呼んでいた。
「あんた以外に見せねえから、いいんだっつの」
「……おう」
「だから下らないこと、ぅああっ!?」
ごり、と骨の音が響いた。多分酒の力がないと出てこない強烈で真っ直ぐな愛情表現に、短気な男が堪えられるはずもなかった。乱暴に、勝手に、派手に繰り返される抽挿に、凌統はただ翻弄されていった。
「吐いたらきれいにしてやる」
「あーーっ!!それっ、イっ……!」
「く……!」
息を吐いて射精を堪える。汗で張り付いた髪を手で避けながら、甘寧は凌統の顔を見た。絶頂を迎えている時の表情は一等品だ。勃起してもいない体は、後孔だけの刺激でしっかりと上り詰めていた。極上の反応に甘寧の物はますますいきり立つ。
「危ねぇ、持ってかれるとこだったぜ」
「ふ、ぁ、ぁ……んっ」
「出すまでもうちょい付き合えよ」
「ん、いい、ぜ……」
寝台に体を沈められ、後ろ向きで尻だけ突き上げさせられた凌統は、欲情に任せて力強く揺すられるのを、ぼんやりした頭で享受していた。
***
「頭、いってえ。ついでに、腰も尻も、しんどいんですけど?」
「俺ぁ悪くねぇだろ!」
「はぁ!?加害者あんた以外いねぇだろ!あっ、つうか俺の服裂きやがって!」
「やっぱりお前面倒くせえから、飲み過ぎんな!」
朝から賑やかな二人は、朝議の存在を思い出すまで小競り合いを続けていた。どうにか重い腰を上げて出席した場が閑散としているのを見て、二人はさっさと各々の自邸に帰って眠りに就くのであった。
【おわり】
超気焔無配で酔っ払い甘寧の話を書いたら酔っ払い凌統の話を書きたくなって、でもそんなのエロしかないじゃん?って開き直って性癖づめにしました。ふにゃちん可愛いと思ってます。ツイッターで見かけた内容も所々入れてみました。
☆コメント☆
[LEO] 05-29 00:10 削除
きゃー😆
[久嵐] 06-03 00:17 削除
>leoさん
(///∇///)
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