西篤シネマガイド

□「戦場のメリークリスマス」
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映画のタイトルも、テーマ曲も、監督も出演も有名なのに、作品自体を観ることがなかった本作。
そもそも邦画で戦争映画はあまり内容に興味を持てない。これは好みの問題で。

しかし!これは食わず嫌いでした!完全にやられましたね。

舞台は、1943年ジャワ島の日本軍統括の俘虜収容所。
600人の俘虜の現場を監督するハラ軍曹(=ビートたけし)、若くしてその管轄を任されるヨノイ大尉(=坂本龍一)、軍事裁判で俘虜として引き取られたセリアズ英国軍将校(=デヴィッド・ボウイ)、そして本作の原作となった手記を著したロレンス(=トム・コンティ)が、国同士の敵対心とその基地での従属関係と個人としての感情が、秩序を守りつつも感情に突き動かされていく様が、言葉ではほぼ語られることなく表現されていきます。

軍事裁判で死刑を宣告され、処刑の朝を迎えたセリアズが突如繰り出すパントマイムがめちゃめちゃカッコいい。もともとデヴィッド・ボウイはパントマイムを習っていたこともあり、本当にそこに物があるかのような見事な演技でした。ボウイの演技でいえば、終盤の衰弱しきった絶望の表情が良かったです。物語中、死の淵に立たされても決して諦めない眼光を持っていたことが対照的に映り、今度こそ生きることを諦めたというような顔つき。敵でありながら彼に惹かれたヨノイ大尉の最後のシーンは、死ぬ間際の彼への敬礼…その心模様をセリフで片付けない展開に、見終わった後に色んなことが考察されてきます。実際、今自分がすごく語り合いたい気分です!
この紹介文を読んで映画を観た方がいたらぜひ語り合いましょう!

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