執事様の書棚
□坂田さん家の志村くん
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「新ちゃん。紹介したい男性(ひと)がいるの」
ある日、ある夕暮れ、帰宅後に、新八の姉、妙は告げた。
「ど〜も〜。坂田銀時でっす」
「知ってます」
姉の隣りに立つのは、見知った天パ。新八が、毎日のように入り浸る『万事屋銀ちゃん』の駄目主だ。
何故(なにゆえ)、今更紹介だ?
「私、銀時さんと結婚します」
「はっはっは。号泣しながら赤飯製造マッシーンになるがいい。
義弟よ」
「…取り合えず。
誰が義弟だァ!ボケェェェッッッッッッッ!!」
<『起』が【結】になる時があれば、『結』が【起】になる時もある。>
「姉上。エイプリルフールは、半年前です」
――取り合えず。白髪(当人は銀髪と言い張っている)天パの糖尿(当人は予備軍と…以下略)マダオとひとしきり殴り合って、新八は妙に進言した。
「あら。もちろん覚えてるわよ。
『実は、私はかぐや姫なの』って言ったら、新ちゃん泣いちゃったのよねぇ…」
「前日に、わざわざ『かぐや姫』を読み聞かせる周到さは、ちょっとヒドかったぞ…」
「うふふ。銀さんだってノリノリだったクセに♪」
「『かぐや姫』のくだりを知ってたら、手加減したって…」
――ああっ。そう言えば、そんな事もあったな…。
随分、前だったような気がしながら、目の前の大人たちが、そこそこ非道なの人達なのだと…新八は、それこそ今更ながら改めて思い出した。
いたいけな幼児になんて大人気ない…。
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