執事様の書棚

□天に拳を突き上げて
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反射的に払い退けた筈の手の平が、再び私の額を覆う。

――乙女心が分からないってのも程があるでしょうが!

「離してってば!」

「うーん…熱はねぇから、やっぱ腹減りか」

なっ。ベル坊!
んなう!

親子で頷き合うと、ぐるんと私に顔を向けてきた。思わず、逃げ出したくなる凶悪面。

「邦枝ぁ〜。早く行こうぜぇ〜」

一瞬怯んだ隙に、ガシリ。と手首を掴まれた。

「お、男鹿っ!?」

痛くはないけれど、強く引っ張っていく彼の腕。

「ほら。引っ張ってやっから…しゃんとしろ!」

「分かった!分かったから…離してよ!私、ベルちゃん抱っこしてんのよ!」

「はっ!ベル坊を馬鹿にすんなよ。抱っこされてなくても、落ちたりなんかしねーよ」

「ダァウ!」

「だから…お前は、ちゃんと付いて来い!」

彼の言葉に、腕の中の赤ん坊が私の制服の胸元をしっかりと握り締める。それを確めた彼は足を速める。リーチの違う私は、もはや軽く走る程の速度だ。

「ちょ…男鹿っ…!」

速度を緩めて欲しい――そう頼もうとした。すると。

「あー、帰りにお前に会えて良かったぜ」

――え…?

「このまま、お前に会わずじまいになるとこだった」

「なっ!?なななななななに、言ってっ!?」

顔が熱い。心臓が痛い。足元がフワフワする。頭の中が――彼の声で反響する。

「あのよ。オメーに言わなきゃなんねぇ事があんだ」

「な、に…?」

彼の足が止まる。ゆっくりこちらを振り返った彼は、微笑んでいた。

「男鹿…」

「邦枝。俺と――」

私の手首を捉えたまま、彼は告げる。





「――明日の休み、一緒に図書館行ってくれねぇか?」

――うん。やっぱり男鹿よね。お約束よね。

期待なんてしてないけど、ほんのちょっぴり夢見て何が悪いの?――私の涙がちょちょ切れそうよっ!

「お袋によ、図書館でベル坊の本を借りて来いって言われてよぉ。
頼む。付き合ってくんね?」

はあっ…。

「コロッケ奢ってやっから」

あぁ…夕陽が目に染みるわ…。

「…仕方ないわね。付き合ってあげるわよ。光太にもちょうど良いし」

「助かったぁ…!オイ!ベル坊も礼を言え!」

「ダァァウ!」

正直。どんな理由であれ、彼と二人――+αでいられるなら嬉しくないわけがない。

――もちろん、言わないけど。

「おし!じゃあ明日、約束な!
…って、何かデートの約束みたいだな?ついでに、映画も見に行くか?」





――弄ばないで!乙女心ォォォォッ!!

「男鹿ーァ!アンタ、何言ってんのっ!」

「アハハ。ガキ二人も連れてたら、デートじゃなくて家族のお出掛けか!」

私は――今、何で、刀を…せめて木刀を持ってないのか後悔していた。



「男鹿の馬鹿ァァァァッ!」





〜fin〜






 あとがき。

初のべるぜSSです♪
レンタル見てたら、つい書きたくなった男鹿葵です☆

これもコミックスは、持ってないんですけど…結構好きなんです(o^∀^o)

さらさらの黒髪の美少女で強い。って良いですね♪


後、古ラミも好きです(≧ε≦)☆

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