執事様の書棚
□十字架の許に眠る
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「わざとに決まってるじゃないですか。神田ごときに使う神経なんて、持ち合わせてませんよ」
「ハッ。生モヤシごときがほざいてろ」
「バ神田には、言われたくありませんね」
静かな朝には似つかわしくない火花が、アレンと神田の間で飛び交い――弾けた。
「逝け」
「逝って下さい」
衝突音。爆音。破裂音。衝撃音。
「あーあ。まーたやってるさ」
「懲りん奴等だ」
アレンと神田の『朝のお勤め』を、ラビとブックマンが、他人事のように眺める。一応、お隣りさん同士の上、神田はラビたちの同居人のはずなのだが、止める気はさらさらないようだ。
「じじぃ、今日は朝、何がいいさ?」
「まかせる」
生欠伸まじりのやり取りで、二人は背を向けた。やはり…と言うか、当然なのだろう。アレンと神田の馬鹿騒ぎを止められるのは、今、身近にいるのはひとりだけだ。
バアァン。
お隣りさんの玄関が、勢い良く音を立てて開いた。
「アレン君っ!」
「おっはようさん。リナリー」
「ラビ!
もう…いるなら、アレン君と神田を止めてよ」
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