執事様の書棚

□十字架の許に眠る
3ページ/19ページ



「わざとに決まってるじゃないですか。神田ごときに使う神経なんて、持ち合わせてませんよ」

「ハッ。生モヤシごときがほざいてろ」

「バ神田には、言われたくありませんね」

静かな朝には似つかわしくない火花が、アレンと神田の間で飛び交い――弾けた。

「逝け」
「逝って下さい」





衝突音。爆音。破裂音。衝撃音。

「あーあ。まーたやってるさ」

「懲りん奴等だ」

アレンと神田の『朝のお勤め』を、ラビとブックマンが、他人事のように眺める。一応、お隣りさん同士の上、神田はラビたちの同居人のはずなのだが、止める気はさらさらないようだ。

「じじぃ、今日は朝、何がいいさ?」

「まかせる」

生欠伸まじりのやり取りで、二人は背を向けた。やはり…と言うか、当然なのだろう。アレンと神田の馬鹿騒ぎを止められるのは、今、身近にいるのはひとりだけだ。

バアァン。

お隣りさんの玄関が、勢い良く音を立てて開いた。

「アレン君っ!」

「おっはようさん。リナリー」

「ラビ!
もう…いるなら、アレン君と神田を止めてよ」





⇒NEXT

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ