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□巡恋華
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「…俺に?」

いぶかしげな顔をして、手に取った箱を眺める隼人。

「そう、君に似合うと思って」

「ふーん…そっか。あんがとな、ヒバリ!」

しかめた眉根を和らげ、淡い笑みを乗せた礼を云う隼人は、少しも昔と変わらないような幼さを匂わせる。

本当は、昔からでは考えられない関係。
至って険悪な仲だったと思うけど、少しずつ距離と警戒が薄れては、僕を受け入れていった。

丁寧に包みを開き、箱の中身を見た瞬間、驚愕に色濃く染まる眼差しが向けられる。

「なっ…これ、高かっただろ?」
「別に。安物のが良かった?」
「いや、そーいうわけじゃねぇけど…」
「ねえ、今付けてみてよ」

手にしたまま固まる隼人からピアスを奪い、耳へと促す。

現在身に付けていた飾り気のない白銀のピアスを外し、華やかなエメラルドの装飾を翳した。

翡翠の瞳と、耳に添えたエメラルドを交互に見やり、

「うん、やっぱり綺麗(隼人の瞳のが…)」

思わず零れた真実に、ピアスの事と勘違いした隼人が、
「…なんか、わりぃな。っんな綺麗なもん、ただで貰うわけにいかねぇよ」

借りだの貸しだのに拘る所、相変わらずだね。

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