×59

□巡恋華
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ピアスの跡形を辿り、その小さな穴へとエメラルドを差し込むと、隼人が府に落ちない顔で僕に訴える。

「僕の気紛れな好意に、気遣いなんて無用だよ。寧ろ迷惑」
「でもよ…」

彼なりに納得がいかないのか、素直に喜んでくれない。

(…そんな馬鹿みたいに律儀な所も、好きだったりするんだけどさ)

「なら、今夜…」
云い掛けた僕を遮り、
「飯でも食いいくか?勿論俺の奢り、和食でも寿司でも何でも頼んでいいぜ!」

但し、ハンバーグはなしだなんて、僕の好物良く把握してるじゃないか。

何故ハンバーグは駄目なのか問うと、「それじゃ礼になんねぇだろが」と直ぐ様返された。

でもさ、高級料亭の和食懐石より、新鮮なネタを誇る高級な寿司より、僕は食べたいものがあるんだけど…

目の前の届かない想い人を見詰め、報われない自分の心情に肩を落とす。

隼人には心に決めた相手がいる。

ずっと傍で隼人を見守り、隼人の為自分の全てを捨てマフィアになった男。

僕だって、隼人の為にボンゴレという名の群れに属したというのに、ほんと笑っちゃうよ。

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