old 8059 story

□初めてのお泊まり
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夜じゅうそっと

オマエの寝顔見ていた

世界中の誰も知らない

特別な至福の刹那…




強く 強く
抱き締めて


孤独を感じる隙間なんて




これっぽっちもないくらい…







「なぁ…、いいだろ?」

「…っざけんなっ…!」

「なんでだよー?そろそろいいじゃんかっ!なっ?なっ?」

「…………!!」

「絶っっ対…!なんもしないから!(多分)な?いいだろー獄寺ぁ…!!」

「…っんとだな?本当になんもしねぇんだなっ…!!?」

コクコクと首を強く振り、しつこいくらいに頷く山本。



「…わかった」

渋々了承すると、キラキラと瞳を輝かせた山本が、

「よっしゃあーっ!!!大好き獄寺っ…!!!」

「…ばっ、…テメッ…!!? 苦しいだろーがぁっ…!!!」

息も出来ぬ程抱き締められ、舞い上がる恋人に悪態を浴びせる。

当の恋人は 悪態なんて聴こえてない様子で、ひたすら満面の笑みを浮かべ、

「それじゃあ、金曜の夜なっ…!!部活終わったらソッコー行くからっ…!」



付き合い始めてから、何度か訪れた獄寺の部屋。
泊まる事なんて勿論許されず、いつも一通り寛ぐと帰らされた。

でも、今週の金曜は違う。
初めてちゃんと獄寺の部屋に泊まる。

…考えただけで、ニマニマ笑い止まんね〜のなっ!!

(…やべぇ、大好きっ♪)






──…勢い負けして、うっかり了解しちまった…

だいたい、山本が泊まってなんもしねぇなんて、あり得ねぇぇぇ…!!!

(…まっ、そんときはそんときで 果たすけどな…)







──金曜日──

「…っんだ?その面は…!?」

玄関を開けた瞬間既に、締まりのない顔でニヤニヤしてる山本に問う。

「だって…、獄寺と夜も一緒で、寝るのも一緒で、朝起きても一緒…って、考えただけで嬉しくて仕方ないのなっ♪」

「…なっ、なに勝手に一緒に寝る気んなってんだっ…!!?
テメーはソファーで充分だっ…!!」

「ヤダ、無理、絶対無理!…俺って、信用ないのなぁ…?」

見るからにしょんぼりと項垂れ、肩を落とす山本がなんだかいたたまれなくなり…

「…そ、そーゆーわけじゃねぇけど…」

「じゃあ、一緒なっ…!!」

僅かに躊躇した隙を見逃さず、パッと項垂れた顔を上げた山本に、結局はいつも、半ば強引に約束をこじ付けられる。


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