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□ALONESガーネット
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凄惨なマフィア抗争が猛威を奮う中、10代目は苦渋の決断を山本へと下された。対立する組織からの条件付き同盟を持ち掛けられ、これ以上仲間の血を流させまいと意を決した彼の決断は、至極妥当であり間違いなんかじゃない。

平和的解決を最優先に見るボスとしては、当然の決断だと誰もが賛同した。

無論俺だってそうだ。聡明な彼の下したご命令と有らば、有無なく指示を仰ぐ、右腕なら必然的にそうせざるを得ない。



山本は最後迄躊躇っていたが、相次ぐ抗争に憔悴しきった部下の面々、ボスであり無二の親友でもある10代目からの頼みを断れる筈がねえ。

否、俺だって同じ立場ならそうしただろう。



抑も間違っているのは俺達だ。男同士であり、マフィアとし生きる俺達は、最初から報われるなんて思っちゃいねえ。

いつかこんな日が来るのは互い想定していた訳で、何時までもこの関係が永遠と続くなんて夢を見る程ガキでもない。



だから、躊躇う山本の背を俺は押した。それが、俺達の築き上げた関係を否定し破滅を意味する事となっても、俺は奴に真っ当な路を歩むチャンスをくれて遣りたかった。



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