×59
□midnight snake
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共に暮らす恋人の帰宅。夜半に差し掛かる夜更けの玄関先、静まる夜の暗がりから響く些か賑やか過ぎる開閉音。
ガチャガチャと覚束ない手付きで施錠を解き、崩れ込むよう身を滑らせた獄寺を難なく抱き止め、半ば支えるように迎え入れた金髪長身の男。
「お〜…今帰ったぜぇ…」
「強くもねえ癖に呑み過ぎだ」
「…んな事ねーしぃ。つか、酔ってね〜もん」
「嘘吐け…」
呆れた口調で明らかな泥酔者を諫めると、不貞腐れたよう唇を尖らせ不満気に眉間を引き寄せる酔っ払い。
「酔ってねぇったら…酔ってね〜もん」
「そおかよ…判ったから、取り敢えず靴脱いで上着も脱げ。節介俺がプレゼントしたスーツが皺になっちまうだろ」
縋るように身を委ねる身体を僅かに離し、冷静に酒気を孕む表情を覗き込むと、
「じゃー…てめぇが脱がせろ」
甘えた声音で首筋へと腕を絡め、据わった瞳を淡く細め媚びるよう男へ囁く。
「…ったく、仕方ねえな…。これが、名望を謳われるボンゴレの右腕とは…訊いて呆れるぜ全く」
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