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□不揃いMESSIAH
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「…ッんで、てめぇが人の執務室で茶飲んでんだよ?」
「よー隼人、お前はコーヒーにする?お薦めは玉露入りの日本茶だけど…両方飲むか?」
堂々と俺専用のプライベート執務室にて胡座を掻く男。
悪びれなく茶を啜りながら、我が物顔でソファーを占領している。
「そーいう問題じゃねぇッ、人のテリトリーで勝手に寛いでんじゃねーよ!出てけッ!!」
出口を指差しながら顎で促す。
苛立ちを顕に声を尖らせるも、
「まーまー、そんな怒んなって。俺とお前の仲だろ?取り敢えず座って、ゆっくり茶でも飲もうぜ」
「な…っ、おい、てめ…ッ」
強引な山本に押し切られ、もの凄い握力で腕を引っ張られては傍らへと腰を据えざるを得ない。
上質な革張りの二人掛けソファー。
通常ならゆったりと腰掛けられる空間がやたらと狭い。
正しくは窮屈だ。
それもその筈、山本がわざとらしく身を擦り寄せ、密着させているから当然だろう。
「離れろ、くっつくんじゃねぇ」
馴れ馴れしく肩を組まれ、益々と密着の濃度が色濃くなる。
昔からそういう奴だと解っているが、この距離感はおいそれと馴染めるもんじゃねえ。
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