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□拍手ログ
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※15ランボ×24獄
歳上の恋人。
昔は粗暴だった彼も、今となっては憧憬と羨望の眼差しに焦がれられるボンゴレの右腕。
敵味方問わず名高い彼の、知られざる素顔を知る者は自分だけで。
それは大変に名誉な事だと思うのだ。
けれど、時に思う。
皆の憧れである彼が、歳上で何もかもが完璧な彼が。
本当に自分なんかを好きなのだろうか…と、自信を無くす事は一度や二度ではない。
愛しい人。
堪らなく好きだからこそ、不安になる。
公私共に全てが完璧で、非の打ち所がない麗容な彼が。
何の取り柄もない自分の恋人であるという事実が、未だに信じられない。
そんな自分が、彼を守りたいとか。
愛してる…なんて。
烏滸がましいのかも知れない。
けれど、そう思う気持ちに嘘はなくて。
運命の人だなんて云ったら、彼に笑い飛ばされてしまった。
「運命なんて言葉…まさか、てめぇの口から出てくるなんざ思わなかったぜ 」
「…俺は本気です。そんな…笑わなくたって良いじゃないですか」
「いや…これが笑わずにいられっか」
涙目の彼がまた吹き出して。
そんな彼を薄く睨んでは、憮然と俯いた。
一頻り笑うと、不意に笑みを消して。
急に真面目な顔を形作っては、一歩距離を詰める。
ふわりと彼愛用の香水が鼻先を掠め、白く、長い指先が髪に触れた。
そのまま、ポンポンと数度軽やかに頭を叩かれて。
まるで子供扱いな所作が、少しだけ面白くない。
拗ねたように上目に睨み上げると、翠色の澄んだ瞳が真っ直ぐと自分を捉えていた。
淡く、微笑んで。
ゆっくりと言葉が紡がれていく。
「運命とか…俺は、良くわかんねぇけど。取り敢えず、これからも宜しくな」
素っ気なく吐き捨てられた言葉に、不器用な彼なりの答えが秘められている気がして。
とても、嬉しかった。
だから、
(俺は、信じても良いんですよね……)
end