old 8059 story

□初めてのお泊まり
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早速部屋に上がり込んだ山本は、寛ぎ慣れたリビングへと向かい。

「獄寺ぁ、先ずは…こっち!」

ソファーに腰掛け、自分のすぐ傍をポスポス叩きながら名前を呼ぶ…

(…前途、多難…)







──俺、なんでこんな事になってんだ?



リビングでTV…


問題はそこじゃない

ソファーで密着し、寄り添う山本だ…




「…なぁ、なにもこんなくっつくた事ねぇだろ?」

疑問を直球勝負してみる。

「ん?だって、折角ゆっくり一緒にいれるんだから、少しでも傍にいたいのな」

ニカッとお決まりの山本スマイル。



こいつとは、まともに話し合えば喧嘩になる、だから最近は、俺が折れて諦める事多々…

まともに、天然野球バカ相手にする事程疲れる事なんてない…
これが近頃嫌でも学習しちまった、座右の銘。


(…俺、随分丸くなってねぇか…?)

溜め息と共に、自身の奇行に肩を落とす。



「ん?なんか云ったか?…そーいや、獄寺風呂入ってきたら?」

笑顔で不穏な事を聴いて来た。

「…云っとくが、一緒になんて入らねぇからなっ!!」

「ははっ、大丈夫だって!獄寺って心配症なのなー…」

無邪気に笑い飛ばす山本に、少々意識し過ぎな自分が恥ずかしなり、
「…じゃ、入ってくるからっ、大人しくTVでも見てろよ…」

一応念には念を押し、バスルームへと向かう。





…くそっ…


耳なんか澄まさなくても、騒がしい脈打つ自分の鼓動が嫌って程わかっちまう…

ほんとは、余裕ねーの俺の方…

アイツといると、自分が自分じゃなくなりそうで、格好わりぃ…



「…なんであんな奴 好きなんだ…?」


エロくて、野球バカで、まーまー強いけど、頑固で人の話は聞いちゃいねーし…

それでも、いざとゆう時は必ず助けに登場し、どんなに拒絶し、突き放しても
傍で笑顔を向けてくる…



包まれる様な安心感が心地好くて


触れられた熱が
暖かくて



いつの間にか

傍にいるのが当たり前になってて…



「…趣味 わりぃ…」

一人湯槽で呟くと、火照る顔を頭ごと突っ伏した。




──ガチャ…



「お〜、すげぇ…結構広いのな!これなら二人余裕じゃん♪」

「…ブハッ、な な なに、ちゃっかり入って来てんだよっ…!!!?」

既に一糸纏わぬ姿で、何喰わぬ顔した山本がシャワーを浴び始めた。

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