〜囚人のジレンマ〜

二人の囚人がいる。銀行強盗を共謀した容疑で逮捕された。
検察官二人に罪を認めさせたい。
囚人はできるだけ刑期を短く済ませたい。無罪放免ならもっといい。
しかし検察官はなかなかの策略家だった。
二人を独房に入れてお互いに連絡を取れないようにしたうえで、それぞれに次のような取引を持ちかけた。
「お前も相棒も無罪を主張し続けるなら証拠不十分で強盗の罪に問えないが、武器の不法所持で懲役1年ほどの罪になる。二人とも強盗容疑を認めるなら刑期はそろって10年だ。だが、お前が銀行強盗の容疑を認めるともに相棒の関与も供述すれば、有罪の証拠は十分にそろう。そこでお前には捜査への協力の返礼として無罪放免、相棒は30年の刑務所暮らしだ。相棒にも同じ話を持ちかけるつもりだ。もしお前が黙秘し、相棒が自白したらお前は懲役30年、相棒は釈放だ。」

これを表にしてみよう。
刑期がそのまま利益の差となる。
仮に囚人をAとBとする。

選択肢はこの二つ
A@黙秘A自白
B@黙秘A自白
左がAの刑期、右がBの刑期とする。

      A
|  A  |  @  |
| 0 -30 | -1 -1 |@B
| -10 -10 | -30 0 |A

囚人はどちらの行動をとってもいい。
このゲームは一方のプレイヤーが得点するともう一方のプレイヤーが損をするゼロサム・ゲームではない。マイナスサム・ゲームである。
実は損失を最小限に抑えるための策を選ぶこともできる。

もうすこしよく考えてお互い黙秘すれば刑期はわずか1年で済み、二人にとってなかなか良い結果になる。
ところが二人とも相手がどう出るか不安で仕方が無い。

ここで囚人Aの心境を推測してみよう。
「相棒が罪を認めるか否かの選択を迫られている。やつが認めても俺も認めれば刑期は10年だが、やつが認めて俺が認めなければ刑期は俺だけ30年になってしまう。やつが自白するなら俺も自白したほうがいいのは明らかだ。だが、やつが罪を認めなくても、俺は認めたほうがいい。そうすれば俺は無罪放免、自由の身だ!」
まあだいたいこのようなものだろう。
しかし、悲しいかな囚人Bもどうせ同じことを考えているのだ。

結局どうなるかというと、相棒が裏切って自白するかもしれないという不安に、相棒が黙秘するなら自分は裏切りたいという誘惑も加わって、囚人Aは自白してしまう。
当然囚人Bも同じ理由から同じ結論を下す。
こうして二人とも
「協力さえすれば刑期1年ですんだのに・・・」
と10年間の刑務所暮らしの中で悔やむことになるのである。

これを1〜4の利益差表にしてみるともっと分かりやすい。

    A
| A | @ |
| 4 1 | 3 3 |@
| 2 2 | 1 4 |A

例2「神を信じるか」で説明したが、もう一度説明しておく。
利益の大きさは4>3>2>1の順になる。

双方の合算利益を最大にするのは(3 3)で双方が黙秘した場合である。
各人にとっての最大の利益は、相手が黙秘を続けている間に自分だけ自白する時に生じる(4 1)である。
しかし、結局二人とも罪を認めてしまい(2 2)の利益しか得られない。

それではこの
    A
| A | @ |
| 4 1 | 3 3 |@
| 2 2 | 1 4 |A
表を使ってSFに応用してみよう。
1vs1になったときの心理をみてもらいたい。

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