テキスト

□近い体温、遠い存在
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考えに夢中になっていると、どさ、と音がした。
目をやれば、膝をついて四つん這いの海堂が男が自慰に使うべきでない場所に指を入れていた。
赤く熟れた蕾が指に吸い付いて卑猥な音が響いている。


「ん、っ…、ぇ、ちぜん…」


腰を高くあげて頬を越前のシャツにあてて感じ入っている。


あの海堂が、としか思えなかった。
部内で一番潔癖そうでプライドが高くて高圧的な、あの海堂が。
自分のシャツに頬を寄せて膝を付くという屈辱的な格好で喘いでいるなど、信じようがない。


足に根が張った様に動かず、どうすることも出来ない。
何も見ていなかったと帰りたいのに、目が離せないのだ。


「かいどう、先輩…」


す、と思いがけず声が出た。
何を言う気だ止めろ、と脳が警告しているのにするすると口から言葉が零れる。


「何、してんスか。オレのシャツっスよね、それ…」


唐突に声を掛けられ、海堂は酷く驚いた様子だった。
それも、よりによって越前に。
サッと青褪めて、身を隠す。その身体は可哀相なほどに震えている。


「…ね、なにしてたんですか。」


その姿に加虐心が煽られる。
ゆっくり部室内に歩を進め、海堂の前に立つ。
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