テキスト
□近い体温、遠い存在
4ページ/5ページ
悔しそうに唇を引き結んで、それでも強い拒否を出来ずに海堂はなされるがまま。
少し手の動きを早めれば、すぐにでも達してしまいそうだった。
(でもそんな簡単なのつまんないよね…)
唐突に手を止めて、透明な蜜で濡れた指を後ろへ滑らせた。
「な、なに、する気だ…」
「さっきコッチいじって気持ち良さそうだったもんね」
淡く色付く蕾に指を擦り付けると、喜ぶ様に吸い付いた。
誘われるままに指を進め、かき乱す。
ぬめった音と甲高い声が部室に響いて、まるで現実離れした状況に越前は目眩すら覚える。
「ねぇ、さっきみたいに名前呼んでよ…」
「…いや、だっ」
逆らう権限等持ち合わせてないくせに、と越前は軽く舌打ちした。
海堂はその様子をみて、顔色を伺う様に少しおとなしくなる。
「最初からそうしてれば良いのに」
口ではああ言ってもやはり自分に従順なのだと臍を噛んだ。
緩やかに指を引き抜くと、赤く誘う蕾が物欲しげにひくついている。
「そんなに残念そうな顔しないでよ」
苦笑まじりにベルトを外してチャックを下ろす。
その手をじっと見つめる海堂を焦らす様にゆっくりとした動作。
思惑通り、待ちきれないとばかりに越前の表情を伺っている。