テキスト

□近い体温、遠い存在
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悔しそうに唇を引き結んで、それでも強い拒否を出来ずに海堂はなされるがまま。
少し手の動きを早めれば、すぐにでも達してしまいそうだった。


(でもそんな簡単なのつまんないよね…)


唐突に手を止めて、透明な蜜で濡れた指を後ろへ滑らせた。


「な、なに、する気だ…」
「さっきコッチいじって気持ち良さそうだったもんね」


淡く色付く蕾に指を擦り付けると、喜ぶ様に吸い付いた。
誘われるままに指を進め、かき乱す。
ぬめった音と甲高い声が部室に響いて、まるで現実離れした状況に越前は目眩すら覚える。


「ねぇ、さっきみたいに名前呼んでよ…」
「…いや、だっ」


逆らう権限等持ち合わせてないくせに、と越前は軽く舌打ちした。
海堂はその様子をみて、顔色を伺う様に少しおとなしくなる。


「最初からそうしてれば良いのに」


口ではああ言ってもやはり自分に従順なのだと臍を噛んだ。
緩やかに指を引き抜くと、赤く誘う蕾が物欲しげにひくついている。


「そんなに残念そうな顔しないでよ」


苦笑まじりにベルトを外してチャックを下ろす。
その手をじっと見つめる海堂を焦らす様にゆっくりとした動作。
思惑通り、待ちきれないとばかりに越前の表情を伺っている。
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