暁高校
□りんごと同じ色
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「むーー…」
芸術の時間。
デイダラは悩んでいた。
だが、それはとても些細な事でもあった。
「(り、りんごの色…赤と赤茶、どっちで塗ろう…なんか真っ赤!!ていうのも何だし渋い感じにしたくもないし…うん)」
「何してんだデイダラ」
「あ、先生…いや、このりんご何色で塗ろうかと思って」
「ああ、これはちょっと暗めに塗って上から明るい色を段々と塗っていけばいい」
「おお!さすがサソリの先生だな!うん!」
「だてに美術の先生なんてやってないからな…」
「そ、そうだよな!うん!ありがとな!」
「はいよ」
「サソリせんせーいっ!!これどうしたら良いのか分かりませーん!」
「せんせー!アタシもー!」
「わかったわかった、順番にな?」
「やったー!!」
「(…先生って、人気なんだな…知ってたけどさ、うん)」
デイダラは嫉妬をしていた。
最初は色塗りに集中しようとしていたがすぐさまあちこちから女子の声が上がってくるため忙しそうに室内を歩きまわっていた。
そんなサソリをデイダラは気付けばじっと見つめ続けていた。
「し、集中しなきゃ色塗り…うん」
「サソリせんせ、放課後とか暇?」
「放課後?暇じゃないけど」
「えー!じゃいつ暇なんですかぁ?」
「いや、先生ってのは暇な時間とかは無いんだよ」
「じゃあ美術について教えてほしいんですけどぉ」
「それならいいぜ」
「ほんとですかぁ?」
「放課後にココな!」
「保健室の方が…はぁーい!」
「(今時の肉食女子だ!!うん!!)」
デイダラはプルプルと震えながら己が塗り終えなければならない りんごへと筆を持っていく。
だが、さっきからはみ出してばかりで全くと言っていいほど自分の満足するようなものではなかった。
「や、やべえ…白で誤魔化さなきゃ!うん!」
「ん!」
「うん?」
「何してんだよお前、はみ出しまくってんじゃねえか」
「せ、先生!!」
「ほら、白の絵の具使えよ!この前使い切ってただろ?」
「お、おう」
「お前の事だからまた買い忘れたんだろうな!クックック」
「よく分かってるね、うん…」
「あたりめえだ!」
「(クックック、て 楽しそうに笑うな、この人。
ああ、やっぱりオイラはこの人が大好きだ。
いつもはヒドイ事ばっか言ってくるけどこの笑った顔とか仕草とか、何もかも好きだな…うん)」
「しかし何があってこんな事になってんだよ」
「え、あ…ちょっと手元が狂って、うん」
「狂いすぎだろ!!お前みたいな奴がこんなになるっつー事は何かあったんだろ?」
「いや!なななにも!!」
「フーン」
「う、うんうん!!あはは(あっぶねー!!先生にだけはオイラが嫉妬していたなんて言えな)「おまえ、嫉妬してたろ?」
サソリはデイダラの耳元でコッソリと囁いた。
デイダラはボンッ!と顔を真っ赤にして恥ずかしげに うずくまる。
誰にも見られたくないと思っておさまるまで顔を上げまいと耳までも長い髪で隠した。
「バレバレなんだよ!」
「ーーッ!!」
(はずかしーっ!!うん!!)
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ちなみにサソリは女の子生徒との約束を忘れてデイダラと帰ります(^p^)
おまけ(^::^)
「うおおおっ!!やっべ!!俺、美術室で生徒待たせっぱなしだ!!」
「ええー、オイラあの子あんま好きじゃないから良いと思うー!うん」
「せ、先生というのはどんなに嫌な生徒でも平等に対応しなきゃなんねえんだよ…」
「え!じゃあ今から行くのかい!?」
「めんどくさいから行かない」
「よ、よかった」
「もう電車乗っちゃったし」
「それもそうだなー、うん」
「つーかお前、ほんっと分かりやすい性格してんな!」
「え!!そ、それよく言われるんだけど、どういう意味なんだよ…うん」
「いや、そのまんま」
「マジか!」
「お前が嫉妬してるの俺2秒でわかった」
「はやっ!!」
「それを隠そうとしているのもすぐに分かった」
「オイラはずかしっ!!何で!あんなに必死に隠してたのに!!うん!!」
「その必死さが裏目に出たな」
「うう、」
「お前はそのぐらいが可愛いけどなー」
「うんっ!?」