暁高校
□おそろい
1ページ/1ページ
「先生、手を切っちゃったから手当てしておくれ!うん!」
「どこだ」
「指かな、うん」
「お前なら舐めてれば治るだろ」
「自分で自分の指なめるなんて嫌だよ!うん!」
「じゃあ俺が舐めてやろうか?」
「い!いいいいいよ!!だったら自分で舐めるよ!」
「ククッ!全部冗談に決まってんだろうが、消毒してやるからこっち来い」
「お、お願いします‥うん」
時は放課後。
いつも通り保健室でぬくぬく過ごすこの時間は、お互いに結構好きだったりする。
特にデイダラにとっては唯一サソリと長く一緒に居られる時間なので用事がないときは常に保健室に行っていた。
そしてたった今、プリントを手に取ろうとしたデイダラは紙で指を切ってしまった。
傷も浅く、血もそこまで出てはいなかったが目の前に保健室の先生が居たら消毒はしてもらいたいもので。
デイダラはサソリに向かって指を差し出した。
「なんだ‥軽く切っただけか」
「うん、でも痛い」
「紙で切ったら痛いぜ、しばらく暴れるなよ?傷が開くからな」
「あ、暴れないよ!!うん!!」
「どうだかな。ククッ!‥ほら、終わったぞ」
「ありがとう!サソリの先生!」
「礼なら体で良いが?」
「昼間っから何言ってんだ変態!それより今日の調理実習でクッキー作ったんだ!うん!」
「クッキー?また二次元にしてはよくある調理品だな」
「なにを言ってるんだい?はやく食べておくれよ!うん!」
「ああ、いただくぜ」
サクッと噛み砕いてみれば口いっぱいに広がる甘さ。
デイダラはサソリの好きな甘さを知っていた。
コーヒーにはいつも砂糖を必ずスプーン一杯入れるのをデイダラは見ていた。
「‥うまい」
「ほ、本当か先生!?」
「ああ、(相変わらず作るもんも可愛いけど)将来は良い嫁さんになれるな」
「‥オイラは男だぞ?うん」
「将来は俺の嫁さんになれよ」
「プ‥‥プロポーズ!!!」
「常々俺はお前との結婚生活を考えてるけどな」
「何か‥前もそんなん言ってたね」
(※イン保健室 参照 ^::^)
「当たり前だ」
「あ、あと家庭科の時間に作ったものがあるんだ!うん!」
そう言うとガサガサと鞄の中をあさる。
すると、丁寧にラッピングまでされたキーホルダーが出てきた。
サソリの手をとり、乗せてやるとデイダラはニコリと笑った。
「これは‥?」
「自分の大切な人に、て!
オイラのもあるからお揃いなんだぞ!うん!」
「へえ‥」
そのキーホルダーは花の形をしていて何やらガラス製のものだった。
サソリの手の中には黄色のキーホルダーがおさめられていた。
「ちなみにオイラは赤ね!先生の色っぽいからさ!うん!」
そう言って既に自らの携帯についているキーホルダーを見せる。
デイダラは嬉しそうにサソリの携帯を手に取り、差し出す。
「携帯って、先生もいつも離さず持ってるだろ?つけておくれよ!うん!」
「ああ、分かった。‥おそろいだな」
「うん!ていうか周りと被りたくなくてさ!花形にするのむずかしかったんだぜ!」
「ククッ!不器用な形してやがる!」
「そ、それでも一生懸命作ったんだからな!うん!」
「ありがとうなデイダラ」
「‥お、おおう‥」
(不意打ち笑顔はやばい。うん!)
(クックック‥何の事だか)