壱
□陽光の下では生きらんない。
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はぁ…私の命もここまでか。
じりじりと焼き付ける太陽が眩しくて、目を細める。
照りつけられた皮膚が熱くてかなわない。
ちょうど燃え盛る炎の中にいるような…
なるほど、相対するからこそ共通する部分も多分にあるのかもしれないな。
なかなかに良い人生だった。
「久秀、立てるか?」
太陽と同じく眩しい男が見下ろしながら言ってくる。
その目は本当に心配しているようで、不快で仕方がない。
「卿に手ひどく叩かれたのだ、立てるわけが無かろう。」
体中が痛い。
何故ひと思いに殺してはくれないのか、などと腑抜けた事を考えた。
「すまない。こうでもしなければ、あなたと話しは出来ないと思ったから。」
微笑んで陽光が言う。
「卿と話すことなど無いよ、早く終いにしてくれ。」
世界の全てが煩わしくて、早く無くなってしまいたかった。
「儂は、無駄な殺生はしたくないんだ。」
そうやって本音を建て前で隠して、自分ですら分からなくして。
心の内から鳴り響く悲しみの音色が酷く心地よくて、この手で本性を暴きながら壊すつもりできた。
そのはずが、迂闊にも陽光の中に懐かしい光を思い出し油断した。
馬鹿馬鹿しい。
全て馬鹿馬鹿しい、この世にはもう興味の湧くものはない。
嘗ての信頼も
身を削りあう愚かしさも
疑心暗鬼に揺れる様も、
全てもう興味はない。