壱
□二度遭いまみえんことを。
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闇夜に浮かんだ月の蒼、
金色の竜を照らしてさんざめく美しさ。
迂闊に飛び回り照らされてしまった梟は、
その光の明るさに眼を灼かれて堕ちました。
ですが、堕ちた梟はただでは起き上がりません。
その毒の付いた嘴で色々な者を啄んで、
啄まれたものは梟の毒に侵されてゆきました。
梟の堕ちた場所は混沌にまかれ、月明かりさえ届かなくなりそうで。
そんな折り、ひとひらの強靭な風が吹きました。
風は堕ちた梟を捜して吹き荒れ、
やっと見つけた梟の弱りきった姿を見て落胆しました。
もう手遅れだったろうか。
思案しましたがしかし梟はまだ生きていました。
舞い踊る風に翼を広げ、
再び飛ぶことを叶えたのです。
闇夜に浮かんだ月の橙、
金色の竜は照らされて尚輝きを増し。
梟は眼を閉じ飛びました。
二度眼を灼かれることのないように。