いち
□深層に隠れた傷を洗うのは
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じんわりとそこから温い液体が流れるのを感じた。と、そこを狼にきつく吸われて感じたことのない感覚が全身を廻る。
「や、やめろ…っ」
「うぬがどこか遠くへ行ってしまいそうだったのでな、それにしても今日は反応が良い。」
嫌だという気持ちとは裏腹に半蔵自身はもう天を仰ごうと反り返っていた。
この狼がなぜ自分に欲情するのか半蔵には検討がつかなかった。
慰みの相手なら他に居るだろうに、解せない事象に半蔵は苛立つ質がある。
もうあまり脳は役に立たなかった。逃げる術を探すのを諦めて事が早く済めば良いと、快楽に身を任せることにした。
幼い頃そうしたように。
「…早く、しろ…」
半蔵が紡いだ言葉に風がふっと笑った。
「欲しいのか?浅ましいな、」
なんとでも言え、
「慣らす必要も無いだろうな、うぬは慣れているだろうから。」
嘲笑うその言い回しにちくりと憎悪が立ったが知らんふりをした。
後口にあてがわれたそれの熱さにずくりと全身が戦慄いた。
と思うとずんずんと質量のあるそれが半蔵の中に進入してくる。
ちりちりと痛みが走り切れたのだろうと頭の隅で考えた。
せめて声は出すまいと口をきつく結ぶ。
しか
し中のしこりを擦られるとそれもあっさりと破られる。
「…あっ、あっ、」
出したくもない声が狼の出し入れに合わせて漏れ、歯がゆさに目をきつく瞑った。