□無い物ねだり
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若き三好家の当主。
彼は幼くして家督を継いだが家臣たちのくぐつにはならなかった。

「久秀、私についてくると言ったな?」

その溢れる自信はどこからくるのか、他の者に彼の言葉は真実としてしか届かない。
それはきっと彼の根底である魂からくるのだろう。

「はい。」


その精悍な青年の横に青年より年のいった不惑前後の男は控えていた。


生まれはよく分からない。それでも彼の言うことには何故か説得力があった。不敵に笑うその顔は一度みれば脳裏から離れない。


「もし私が道を踏み外したその時は、」


言いながら笑うその心は既に覚悟を決めているようだ。

「お任せください。」

言葉少ない従者が時折紡ぐ言葉は嘘が無く長慶は信頼していた。


そんな男を求めるようになったのは何時からだったか。



熱に浮かされた脳で考えても答えは出るはずもなかった。




 
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