咎狗の血

□熱
1ページ/6ページ


じっとりと湿る空気の中、熱を含む空間。
気だるく吐き出される息が尚その場を際立たせてゆく。
質素で暗く汚らしい部屋の軋むベッドの上、窓から見える不機嫌な灰色の空を見上げ溜め息が出る。
熱に浮いた脳が全てをゆっくり溶かしていくようだった。

目を閉じ額に腕を乗せ、腑甲斐無い己の体に舌打ちでもしてみる。
その溶けるような熱に任せ眠りに就こうと目を閉じた。









「っおーい〜ジジイ!!!居るかあ〜?帰って来てやったぜ〜ヒャはっ!」

馬鹿にテンションの高いガキが一人。結構な数殺ってきたのだろう声高らかにやって来る。
人が病んでいて、おまけに床についているというのに
頭のねえガキは遠慮無しに奇声を上げている。デかい図体でドタドタと。
死んだふりでもしとけばおとなしくなるだろうか。
考え始めてやめた。脳が溶けそうだ。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ