いち

□絶対的忠誠
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本多忠勝は戦の最中におかしな表情を見せて消えた忍びを探していた。


その表情はなんとも形容しがたいもので、えもいわれぬ焦燥を忠勝に与えた。


常に冷静で人を殺める時でさえ顔色ひとつ変えない忍びが何ともつかない顔を見せるなど尋常ではない。

そもそもこの戦に出る前から忍びの様子はおかしかった。
何が、
と断定はできないが普段とは明らかに違うそれに何とも言えない不安が沸々と沸いてきた。


早く半蔵を見つけ出さなければならない。


何か良くないことが起こる気がして、
本能が警鐘を鳴らしていた。


雨が酷く視界が不明瞭な上に足場はぬかるみなかなか前に進めない。
もどかしさに焦りは増す。

半蔵の配下の忍び達も、突如消えた頭領の行方を探っている様だった。


忍ぶのが本質の忍びを見つけられるだろうか?
不安ばかりが募っていく。

何も無いことを、
只の自分の思い過ごしであることを祈って馬を走らせた。


 
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