□月、飲み込まれて。
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梟を生け捕り、どうしたものかと思案する。

ひと思いに殺してしまえば良かった。

主を奪還せんとする松永軍の配下たちは意外にも手強く、久秀の配下らしくなかなか姑息だった。


「小十朗様、奴を如何するおつもりですか?」

自軍の兵たちもなかなか手こずっている様で。

「このままでは埒が飽きませぬ。」

疲弊は明らかだった。

「分かっている。俺も決めあぐねているところだ、」

頭が痛い。
この状況へ持ち込んでしまったのは正直まずかったと、後悔先に立たずと言うがまさにそのとおりで。

梟をみすみす明け渡せばまた狙われるのは火を見るより明らかだ。

かと言って梟を殺してしまえば、狂った配下に何をされるか分からない。

「ちっ」


堂々巡りを始めた思考に目眩がする。

「ちと頭を冷やしてくる」

外に出ると、きんと冷えた空気、澄んだ空に月がぽっかり浮かんでいる。

あぁ、あの晩もこんな月だった。


吐く息は白く、冷たさが鼻を擽る。


小十朗が悩むとき、月はいつも空から見守っていた。


一呼吸おいて小十朗は脇差しを手に地下へ向かった。



 
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