壱
□手に入らないもの
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手元に落ちた梟を持て余していた。
殺す事もできず、生かすこともできず、ゆるゆると自由を奪うことしかしていなかった。
しかし体の自由を奪えても心の自由は奪えず、ふわりふらりとすり抜けるそれに苛立ちが募っていた。
どうしたいのか分からない。
ただ、憎いだけではないであろうこの感情に気付いてはいても、この感情が何であるかが解らない。
解せない己の心にも多分に苛立っていた。
それでもこの梟の元に来てしまうのは…情事を重ねるのは…酷く滑稽だと分かっている。
分かっているが疼く感傷は止められなかった。
今宵も梟の元へ。