壱
□霞がかった世界で
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私は何がしたかったのだろう?
霞みゆく世界に必死で目を凝らし想いを繋げた。
君は知ってくれるだろうか?
君は信じていてくれるだろうか?
君は生きてくれるだろうか?
君は…
私は大切なものを失った、
それはもう数え切れない程数多。
しかし人生は巧くできていて、失うほどに得るものもあった。
例えそれが必要としないものであっても。
幼い頃信じていた主は父親を殺した、とても卑怯な手段で。
例に倣い自分も主を殺した、それはそれは卑怯な手段で。
間違っているとは思わなかった。
目には目を、歯には歯を、
そして自分にそれが降り懸かることも覚悟していた
つもりだった。