銀魂/おお振り

□この手で何を掴めるか。
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この手で何を
掴めるか。



高く伸びる木々に僅かな光さえも遮られ暗く翳る森。
その中で只管に走る自分と、時折目に映るのは前方で揺れる銀色。
『どこまで行くんだよ!』
『うるせェな!オメーはただ黙ってついてくればいいんだよ!』
獣道を突き進みながら叫ぶその背中は、気を抜けば見失いそうで。
上ったり下ったりする先導を、俺は必死に追い掛けた。
『とーちゃく!』
『ったく、一体何…』
俺もそいつも息を切らしていたにも拘らず、其処に辿り着いた時には思わず背筋を真っ直ぐに伸ばした。

――絶景だった。

『どーよ?こないだ発見したんだぜ?』
眼下にはチラホラと家の灯りが見え、頭上では月と星の瞬きが夜空を蒼く照らしていた。
『おお、やっと来たか!』
『遅かったな、約束を忘れたかと思ったぞ』
ガサガサと音がして現れた二つの影。
『あー、実は忘れかけてた』
そんな会話を交す三人を呆然と見つめている俺。
『……お前ら、もしかして…』
『皆まで言うな』
『おんしの想像通りじゃ』
どうしようもなく胸が熱くなった。

『『『誕生日おめでとう!』』』

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