賢者の石
□プロローグ
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----はぁはぁ----
息づかいが響く。
「たすけてッッッ」
叫び声が反響する世界。
その声がむなしく響く。
----なんで逃げるんだよ。ククッ----
真っ暗な空間に浮かび上がる白い陰。
「よっよるな!化け物!!」
赤い目の少年は怯えたように叫ぶ。
その声さえもうるさい程に反響し、この世界が途方もない程広い事を示す。
----酷いなぁ。化け物だなんて。----
やがて白い陰は立ち止まる。
その前には、まだ少年と呼べるであろう子供の姿。
----俺は、お前なのに。----
白い陰が、まっすぐに少年を指さす。
「ちがう・・。お前は俺なんかじゃねぇ・・。」
否定しながらも、その声は今にも消え去りそうな程小さい。
俯いた少年の事を、白い陰が大げさに抱擁する。
俺はお前。お前は俺。
分かってるだろ??
なぁ、もう一人の俺。
叫び声が
木霊した。
→言い訳。