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□無知なる猫は嘘に溺れる
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それに、「これはいけない事なんだ」とも言う。

でも、アタシにはそれが分からない。アタシを見て、アタシに話かける人間はご主人だけだから。アタシの世界は、このお屋敷と窓から見える景色だけ。行き交う人も、子供の泣き声も、全ては別の世界での出来事。

アタシは今日も、ご主人が与えてくれた世界でご主人に会って、触れ合う為に生きている。


「ああ―…。愛してる…薫。」

ご主人がよく言う"愛してる"の意味は分からないけれど。

ご主人といると、息が苦しくなる理由は分かる。

先生の声が、体温が、アタシの全てを支配する―。鼓動も、思考も―…。


明日の朝まではほどけない身体。

アタシの幸せ――。



→後記
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