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□ないしょの先生
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―――都内某所――・・・


「や、やめようよぉー。」
友達と買い物に来ていた私は今、今日ここに来たことを猛烈に後悔していた。

「黙りなさい!これは一攫千金のチャンスなんだからね!」
「いっ、一攫千金って・・!」
私はもうすっかり涙目で、カメラ片手にコソコソする友達に眩暈をおぼえずにはいられなかった。
そもそも、今日は買い物に来たのだ。

「心配しなくても分け前はあげるわよ!」
――そんな心配はしていない。

「イケメン準教授のオフショット・・・。ふふ、お金の匂いがぷんぷんするわね・・・。」
――いやらしい。顔がとてもいやらしい。

いつもは気のいい友人は、金に目が眩みやすいのが玉に瑕だ。男の子からはそれなりにモテるし、友達思いで優しいのだが、神様というのは気まぐれにこういうことをするのだなとつくづく――、いや、そうじゃない。それは今はどうでもいい。

「やめなよ!お金目当てに尾行なんてよくないよ!」

彼女は、街中でたまたま見かけたウチの大学のアイドル準教授、湯川学のオフショットを手に入れて売り捌こうという魂胆なのだ。

「尾行じゃないわ!たまたま行き先が同じで私は街の風景写真を撮るの!そしてたまたま映りこんだ何かに反応した誰かが写真を買うだけよ!」
――ドン引きだ。すっかり我を忘れているようだ。

「終わったらちゃんと買い物付き合うわよ!なんならお小遣いあげるからお茶でもして来なさい!」
「な・・・・!」
此処へ来てさらに私の顔を金で打つような事を言う彼女に、流石の私もキレそうになる。
――大体・・・

「一人で待ってるなんてやだよ!」

要約すると、「私も気になる」という意味だ。
まあ、人間一つや二つの欠点はある訳で。私の場合はこの性格と言えるだろう。

「私、あんたのそういう性格好きだよ。」
「私もだよ・・・。分け前は、5割でいいからね。」

彼女とは、幼稚園の頃からの付き合いだ。



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