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□君がいても、いなくても
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深夜10時、都内某所のマンションが一室にて――。

たった一人のこの部屋の住人、湯川学は首をかしげていた。


"――来ない。"


携帯を弄ぶと、湯川はもう何度目かも分からない思考を繰り返していた。
来ない―…それは、彼の恋人である内海薫の事である。

多忙な彼女との時間を少しでも共有しようと思い、湯川は彼女に合鍵を渡した。

しかし湯川はこの部屋で、もう1週間以上も彼女を待っていた。


…健気にも。


"合鍵を渡したものの、内海君が使う気配がないとはどういう事だ。"

湯川はコーヒーカップを手に取ると、口元に近付けた。

"僕の知る女性の行動パターンからいくと…、合鍵を渡されれば喜び勇んで次の日からでも使うと―。"

その時、湯川の手の中で携帯が震えた。メール受信の文字が表示されている。湯川はすぐにメールを開いた。



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