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□作戦A
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"あれ…?"
視線のその先には、先刻と変わらず難しい顔で青椒肉絲を食べる湯川がいる。
だが、先ほどとは様子が違う。
右手には箸…
左手には……
…茶碗…?
"これはもう…食事よね…?"
湯川は、もくもくと食べており、箸も口も大変良く動いている。
彼女は、頬の筋肉がだらしなく弛みだすのを堪えた。
嬉しさが心の底から込み上げてくる。
"なんだかんだで、やっぱり美味しいんじゃない!"
そう言ってやろうと、口を開く。と、ここで彼女の思考がブレーキをかけた。
"そんなこと言ったら、先生が食べるのを止めてしまうかもしれない…。"
彼女は、一瞬でクルクルと考えを練ると、こう言った。
「今度はっ、練習してもっと見た目も綺麗に作りますからっ…!」
「!」
皿へと伸ばされた湯川の手が、ピタリと止まる。