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□犯罪と願望
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数十分経った頃、僕は最後のレポートを読み終えて席を立った。
彼女を見てみると、うつ向いてジッと考え事をしている様だった。
「君もインスタントコーヒーを飲むか?」
レポートの束を纏めて机の端にやりながら声をかける。
ピクリと彼女は反応して、こちらを見た。
「いただきます…」
冷めきったコーヒーが入った黒のカップを手に、窓際の流し台へと向かう。
まず流しに、残ったコーヒーを捨てるとカップを洗った。それから2人分のコーヒーを淹れていく。
「…せんせ?」
背中越しに、彼女が声をかけて来た。その声からは、躊躇いが感じられる。
僕は、彼女に背を向けたまま話を始めた。