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□熱ノ浮力(ネツノフリョク)
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事件現場を見に行った帰り道、湯川が気分が悪いと言い出した。

車を運転している薫の隣…助手席で、彼はぐったりとしている。

湯川は朝から体調不良を訴えていたが、どうしても今日現場が見たいと聞かなかったのだ。
「だから今日は止めましょうって言ったんです!」
「頼むから静かにしてくれ…頭痛がするんだ…」
「…先生、顔赤いですよ。それに唇が紫です。病院、寄りましょうか?」
「今日は日曜日だろ」
「あ、そっか。じゃあ薬は?」
「家にある」
「ご飯とかスポーツドリンクは…」
「静かにしてくれと言ったはずだ…寝かせてくれ…」
「っ、もうっ。人が心配して訊いてるのに!」
…返事はない。
横を見ると眉間に皺を寄せて窓にもたれる湯川の姿があった。時折苦し気に咳をしている。

"大丈夫かな…一人で帰して…"


薫は、近くにあったコンビニに静かに車を止めた。
店内に入ると、スポーツドリンクだけを買って外に出る。
そして、車外で草薙に電話をかけた…。
 
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