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□君とならどこまでも。
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「もう、振り向きもしない!」

そうしている間にも、湯川はどんどんと林の深部へ進んでゆく。

こうなると湯川は、薫の存在など忘れ去ってしまう。口をすぼめて小言を溢す薫にも、依然として気付かない。

虫採りに来た子供さながらに無邪気な顔をしている今の彼には、現場に落ちている手掛かりしか眼に入らないのだ。

「……」

薫は眉を潜めると、胸の前で組んでいた腕を緩めた。
やれやれといった風に、息をつく。



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