text
□君とならどこまでも。
2ページ/10ページ
「もう、振り向きもしない!」
そうしている間にも、湯川はどんどんと林の深部へ進んでゆく。
こうなると湯川は、薫の存在など忘れ去ってしまう。口をすぼめて小言を溢す薫にも、依然として気付かない。
虫採りに来た子供さながらに無邪気な顔をしている今の彼には、現場に落ちている手掛かりしか眼に入らないのだ。
「……」
薫は眉を潜めると、胸の前で組んでいた腕を緩めた。
やれやれといった風に、息をつく。
*
→
次へ
←
前へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ