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□咄嗟の証明
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「だって…見たかったんだもん。凄い怖かったんですよ!夜の大学を亡霊が徘徊するんです!斧を引き摺りながら!」

薫は身振りを加えて詳しく説明するが、湯川は恐がる処か楽しんでいる様だった。

「で、来たのはいいが日が暮れてしまい、怖くて帰れなくなった…と。」

「…はい。」

恥ずかしさを堪えて、薫は素直に頷いた。

「はぁー…。」

「な、そこまで呆れる事ないじゃない!」

薫は顔を真っ赤にすると、抗議として湯川を軽く叩いた。
湯川はそれを宥めると、よしよしと胡散臭い笑みでもって薫を見た。

「良いだろう。もう少しで僕も終わるから、待っていてくれ。」

そう言うと、湯川は丸イスを持って来て自分の席の横に置いた。
薫は馬鹿にされていると思ったが、背に腹は代えれず大人しく用意された席についた。


それから数十分後…


「――せせせせ先生っ!」

いきなり慌て出した薫が湯川の腕を揺さぶる。そのため字が歪んでしまった湯川は、溜め息混じりに薫を見た。

「何だ。トイレか。」
「ちがいます!」

「じゃあ何だ」


湯川がそう聞くと、薫は扉の方を指差した。



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