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□眠れる姫と聡明な狼
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湯川がそんな歳に似合わぬ悩みを抱えていた、ある日の事―…。


湯川が帰宅すると、リビングの白いロングソファに薫が寝ていた。
いつもなら湯川の帰宅と同時に飛び出して来るのだが…。スーツの上着も脱がないままで寝ている所を見ると、余程疲れていたのだろう。

何度か寝返りを打ったらしく、上着が拠れていた。

「内海君、起きろ。スーツが皺になるぞ。」
「んー…。」

肩に手を掛けてゆすってみる。すると薫は身動ぎして、肩に置かれた手を振り払った。

「着替えてから寝なさい。」

やや苛立った湯川は、先程より強く揺すった。

しかし、薫はピクリともしなかった。

湯川は仕方なく上着だけでも脱がそうと、薫を仰向けになるよう転がした。

「んうー…。」

「文句を言うなら起きてスーツを脱いでから寝ろ。」

多少手荒だったが、何とか上着を脱がした湯川はハンガーを取りに寝室へと向かった。



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