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□好きと云うことのリスク
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「最近、本庁にいる草薙の同僚と上手く行っているそうじゃないか。」

日暮れの研究室、二つの影が伸びて重なる。

ゴボゴボと音を立てて、マグカップにお湯が注がれる。湯川はポットから手を放すと、シンクに軽くもたれてテーブルに座っている薫を見た。

「はい、お陰様で。今度、映画に行くんです。」

「……」

湯川を見る事もなく、薫は手元で広げていた捜査資料を一枚捲った。

「付き合う気でいるのか。」

「さあ、でも…断る理由も特にありません。」

薫が感情の篭らぬ声でそう言うと、湯川は身体の向きを変え、コーヒーの入ったカップをポットの脇に置いた。
少し中身が零れて、湯川の指にかかる。煩わしげにそれを舐めた湯川は、薫を背にしたまま深呼吸をした。

「男を見る目がないな。君は。」

「彼の事なんて知らないクセに。失礼な事言わないで下さい。」

薫がそう声を荒げると、湯川は目を閉じた。


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