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□光の先の貴方
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"手を繋いでいいですか。"

薫はそれだけの事も言い出せない自分に、歯痒さと切なさを募らせた。
湯川が触れようとしてくれない。それだけでも充分に堪えていたため、目頭が熱くなる。
なかなか話を切り出さない薫の動向を伺っていた湯川も、ここへ来てようやく異変に気付いた。

「ふ…っ」

「う、内海君?」

「せ…んせぇ…」

涙を溜めた大きな目に、湯川が映る。その表情は動揺と呼ぶに相応しく、オロオロと焦る姿は普段の彼からは想像も出来ない程だった。

「き…気分でも?」

「ちがいますぅ…!あの…、だから!」

本当は少女漫画みたいに、可愛くお願いしたいのに…。薫は声を荒げてしまう自分を惨めに思った。

"こんなんだから…手を出して貰えないのかもしれない。"

ふと、そんな考えが頭をよぎった。

「…最近の君は様子がおかしい。」

「え…?」

薫が見上げれば、湯川が真剣な顔で此方を見ていた。


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