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□パフューム
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「有り難うございました。」

「いいえ。またね、薫ちゃん。」

聞き込みを終えた薫は、相手に丁寧に頭を下げると帰路についた。

湯川の様子がおかしくなって数日…。
いまや、湯川は薫に触れもしない。薫が近づいた所で「疲れている」と言って自室に入ってしまう、そんな日々が続いていた。

今日こそは理由を聞かなければと、薫は決意を固めて玄関のドアノブに手をかけた。

「―…あれ。」

扉を開けた薫は、玄関先に立った湯川と出くわした。

「―…。」

何故、と疑問符が頭をよぎる。
湯川が玄関先に仁王立ちしている事に対してもだが、その目が異様に鋭い事に対しても、だ。
呆ける薫に、湯川が動いた。

「わ。」
薫の腕を引くと、湯川は無理矢理家の中へと引き入れた。
薫は悲鳴にも似た抗議の声を上げながら、慌てて靴を脱いだ。

「えっ、せ、先生?!」

そのまま薫が連れて来られたのは風呂場―…。

「なにを…。」
風呂場の奥に追いやられた薫は、身の危険を感じて後ずさった。背中に、冷たいタイルが当たる。

湯川はおもむろにシャワーを手にすると、ヘッドを薫に向けた。


「―っひあ!!」

湯川を目で追っていると、頭から冷水がかけられる。

「なっ、何すんのよ…!!」




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