テニス駄文

□サクシ
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「お前たちの喧嘩も、こんな風に意地の張り合いになることもいつもの事だが俺の知る限りでは膠着状態が続くのはせいぜい平均して4日と言うところだ」

「…で?」

「しかし今回はどうだ?もう二週間だ。しかもお前は未だ柳生に歩み寄りを持ち掛けられる事はおろか目すら合わせてもらえていないだろう?」

「……」

「あんな柳生は今までに見たことがないから分析することは出来ないが…。今回はさすがにマズいとは思わないか?」

「…マズいって…言われても…」

柳の言わんとすることは、なんとなくは分かる。
彼の言うとおり、こんな風に柳生が自分を避けた事は無く、知り合ってからというもの、これだけ長い間言葉を交わさずにいた事もなかった。

それが何を意味するのか。
漠然とした不安はあったが柳に改めて明言された事で仁王の背筋に嫌な汗が伝ったような気がした。

「素直になれ。仁王。穏やかに見えて意地っぱりな柳生の事だ。お前から折れなければ時間が経てば経つほど事態は悪化するぞ」

「…」

「頼んだぞ、仁王。お前たちのダブルス解消なんて、俺は見たくないからな」

「柳……」

「柳生の事を誰よりも理解しているのは、お前だろう?本当はあいつも待っているんじゃないのか?」

お前の事を。


確認するように丁寧に問われて仁王は、小さく頷いた。

電話の向こう側の柳にはその姿が見える訳などなかったが、仁王が自然と取ったその仕草は、二人を気遣う柳には充分に伝わっていた。
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