今ここから…
□縛るもの、瞳を閉ざすもの
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『先に一護達が行ってるかな。』
夜道、死神姿の智佳は一人で虚の場所へと向かっている。
虚の場所は、昼に会った織姫の家だ。
おそらく死んだ織姫の兄である。
『・・・・』
ふと智佳は走っていた足を止める。
『もう気づいてるよ。』
言いながら智佳は後ろを振り向く。
向いた先にいたのは、どこにでもいそうな眼鏡をかけた男だった。
違うところといえば、私服と言えない真白な服を着ているぐらいだ。
『同じクラスの雨竜君だよね。
滅却師だったんだ。』
「そうだよ。よく知ってるね。」
『どうしてつけてきたの?』
あまり警戒せずに聞く。
「・・・いや。ただ虚が出てきたと思ったら君がいたからつけてみたんだよ。」
『・・・君じゃなくて智佳だよ。
今日は私が片付けるから帰りなよ。
それじゃまた学校でね。・・・雨竜。』
なんとなくで言ってみた下の名前。
向こうは少し驚いたらしい。
『私も下の名前でいいから!』
まあ最後ぐらい明るくと思い笑顔を見せ、虚の所へ急いで行った。
「・・・君に免じて黒崎に会うのはもう少しあとにするよ。・・・智佳。」
雨竜は身を翻し、帰って行った。