今ここから…

□前触れ
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黒崎一護と朽木ルキアの監視およびサポートは何とも言えないものだった

まず第一に、見つからない程度に助けることは案外難しい
素顔を見られないように仮面をつけてはいるものの、極力接触しないように彼らが駆け付けるまで虚を足止めすることしかできない
そして次に、人間である黒崎一護の死神業というものは案の定拙い部分が多かった
クラスメートの井上織姫が狙われたときは、すぐに仕留めることができず、素顔に気づいてしまい戸惑いを見せた
あるときは、自身の母親の仇のためにと中の上の虚の相手をし、傷だらけ

唯一ちゃんとサポートできたことといえば、改造魂魄の騒動をもみ消したことだろうか

これだけのことしかできていない
これで本当に務まっているのだろうか
そもそもこの行動の意味はなんなのだろうか


「いやあ、上出来ですよ
観察が主ですからサポートに関しては彼らが死なないことが最低ラインです」

「……納得がいかない」


監視報告のために喜助の部屋へ訪れるのはこれで何回目だろうか
いい加減このサポートのようでサポートではないただの監視の意味が分からなくて、直接聞き出そうと思った

が、予想通り変わりのないへらへらとした笑みのままのらりくらりと避けられる
目の前で大きくため息をついてみても、教える気はないらしい

私との話は終わったとでも言うように喜助はテレビをつける
と、「ボハハハハーーッ!!」という笑い声とも雄叫びともとれる男性の声が耳へ突き抜ける


「ぼは……?なにこれ?」

「智佳サン知らないんッスか?最近流行ってる心霊番組ですよ
ジン太や雨も好きでよく見てるのに」

「心霊って……インチキでしょ」


中高生の間で人気らしい
ひげを生やしたおじさんが良くわからない横文字を喋りながら霊力がどうたらこうたらと語っているが、胡散臭い


「インチキだといいんですけどね」

「それってどういう……」

[次週は緊急生放送スペシャル!
東京・空座町の廃病院に突撃!]

「…っ!ここって……」


次回の予告内容に驚きが隠せない

この場所には少し前から地縛霊がいる
地縛霊が虚となるのはずいぶん先で、黒崎一護らが気づけば除霊するだろうと放っておいたのだ
たまたまこの場所が選ばれただけなのかそれとも地縛霊の存在を認識して選んだのか


「当日何かあったら智佳サンよろしくお願いします
あたしらは別行動しますんで」


何か思うところがあるのか、こちらを伺うような素振りをみせる喜助にまたもやため息が出そうになるのをグッと堪え、一言了承し、部屋を出た





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翌日


「ボハハハハーーッ!」

「お、おはよう浅野くん」


教室のドアを開けると、クラスの中でも特に明るい部類に入る浅野啓吾に昨日のテレビのアレをされた
びっくりしつつ挨拶をするが彼のポーズはそのまま
これはやり返さないといけないのだろうか
羞恥心が拭えないまま、腕をクロスさせる


「ボ、ボハハハハー……?」

「浦原さんグッジョブ!
来週浦原さんも廃病院行かない?」


やはりポーズをするのが正解だったようだ

どうやら彼の他に小島水色、茶渡泰虎、朽木ルキア、井上織姫、有沢竜貴が揃って行くとのこと
まだ学校に来ていない黒崎一護も頭数に入っているらしい
当日は恐らく多くの人で溢れるだろうし、何かあれば人混みに紛れることは容易いだろう


「女子も行くならお言葉に甘えようかな」

「だったら来週七時半に集合でヨロシク!……お!一護!」


了承すれば、丁度黒崎一護が教室入ってきたようで、浅野啓吾はそちらへ標的を変えた

なにやら揉めているようだが、これまで観察してきた彼の性格を考えれば来るだろう




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